愛情をもって忍耐強く水を撒く　　“憨星人”によるゲームのように楽しい農場

蓮心園社会福利事前事業基金の創設者の張田黨さんは農村出身であり、社会的な問題に関心を抱き、台湾の民主的発展と社会運動に積極的参加しています。いうなれば「政治家」であり、現場を歩き尽くすと同時に、暗い片隅にも触れています。当時まさに台湾の経済が飛躍的に向上している時代であり、社会的弱者への支援のなさと悲哀が突出した時期でもあります。孤独に苦しむ年配者は身寄りもなく、心身障がい者に耐えきれなくなった家庭などを見て、毅然として第一線の社会福祉の仕事への参入し、社会的な弱者を助けることを決意しました。

蓮心園では先に独居老人の世話をはじめ、後に心身障がい者の人々を受け入れるようになりました。これが一般的にもよく知る「喜憨児」です。基本的な生活上でのニーズのほか、生活のケアとサポートと就業は大きな問題となっています。どの人の生活とも同じように、最も重要なのは学習を通して社会へと溶け込むことであり、自立へと進むことです。2014年台南市労工局による指導のもと、蓮心園庇護農場が設立されました。はじめは自給自足ができるようにと考えていて、田畑での仕事がこんなにも癒しとなり教育となるとは思いもよりませんでした。農場で作業する10数名の「憨星人」は最初のつたない作業から熟練しています。性格もまるで人が変わったかのように明るくなり、菜園は毎日朗らかな笑い声に満ちて、栽培された野菜もますます美味しくなっています。

草の葉1枚から一粒の露まで　　蓮心園は慈悲の中でたくましく成長する

蓮心園では除草から種まき、発芽、収穫、洗浄、分類、梱包など一歩づつ、すべてを自分の手で行っています。実のところ全く簡単ではありません。「憨星人」の農作業の訓練のため、園内の技術者は作業のそれぞれの繋がりを調整しなければなりません。簡単なことから始めて煩雑な作業へと進み、繰り返し操作して練習することにより次第に上手になっていきます。園内で栽培されているレタス、ゴマの葉、草花や植物は一枚一枚収穫しなければなりません。一般の人からすれば簡単なことですが、「憨星人」からすると非常に多くの労力が隠されています。ある人は手で土に触れることさえ怖がり、除草の際にネギを抜いてしまい、ネギの収穫の際には草をすごい勢いで抜くといった面白い物語もあります。愛する心、忍耐力がなければ指導を続けることはできません。収穫すらも大問題となるからです。

土を掘り返しての除草から野菜の収穫まで、非常に多くの時間訓練する必要があります。つらく苦しくはありますがとても価値があるのです。「憨星人」たちはたくましく成長していく野菜や果物を見ると、笑顔になります。連珠炮さんは「これは私が植えたのです」と教えてくれました。最初の失敗から挫折、のちに次第にコツをつかみながら学び、仕事が完了すれば自信を持つことができるように変わっていく姿を見ることができます。さらには率先して農芸ライセンスを取りたいと考えるようになります。ここ数年次々と何人もが職場での仕事に復帰し、彼らを指導している農場の技術スタッフにも素晴らしい達成感を与えてくれています。